2011年4月16日土曜日

猫が顔を洗うのはどうして

雨の日、とくに春から夏のお昼までずっと晴れていたのに夕方になって突然ご機嫌ななめになるような日はなんだか心が落ち着かない。

お昼を食べて、さあ午後も頑張ろう。今日は仕事が終わればあの子とゆっくりお酒を飲みに行くんだーなんてついつい鼻歌まで出てしまいそうな、でも少しだけ眠たいおだやかなお昼に水をさすは雨の匂い。

窓をあけていればすぐに分かる。背中から雨の匂いがする。嫌な予感がするから空の色は見ない。とりあえず仕事をする。でも落ち着かない。なんだかもぞもぞと心臓あたりが動く。すぐにやっぱり我慢ならなくなって後ろを振り返る。

ああ、やっぱり。

お勉強をしていなくて全然できなかったのが分かりきっているテストの答案を恐る恐る答え合わせしたような。

もうこうなっては集中なんてできっこない。傘を持っていないなあ、今日行くお店ではテラスでビールを飲むつもりだったのに、雨となれば気分もちがう、予約を取り消そうかいやでもそうすれば楽しみにしていたあの子に申し訳がたたない、それより今日はとってもあたたかかったからまるで初夏のような薄水色のシフォンのワンピースで出かけてきてしまったのに雨ではなんだかちぐはぐでしかも少し肌寒いだろうなあ、一度帰って着替える時間はあるかしら、約束の時間を遅らせてもらおうかしら、ああ今すぐにでも家に帰ってしまいたい。そんなことしか考えられない。

それにこういう時の匂いというのがどうしてもだめで、なんだか私の方まで大声を出して泣きたくなる。眉がどんどんハの字になって今にも涙がぼろぼろ落ちそうになるのを、歯をぐうっと噛んで我慢する。もう大人なんだから泣いちゃだめだ恥ずかしいしここは会社なんだからと心の中で自分をたしなめるも効果なしで転がり落ちるようにかなしくなってしまう。

なにか昔あったことを思い出すような悲しさ。だけれども何も思い出せずそれでまたもやもやと心が落ち着かない。なにも思いだすことはほんとうはないんじゃないかってやり過ごそうとする、だけどこんな日はあの子の声を聞くまではもうぜんぜんだめ。

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